公明新聞2011年6月7日掲載分

企業参入で農業に活力/担い手確保・育成めざす/耕作放棄地の活用、雇用創出にも効果/党県本部 現場の取り組み探る/大分県

将来にわたって持続可能な「もうかる農業」の実現をめざし、大分県では現在、担い手の確保・育成策の一環として、経営力や資金力に優れた県内外の企業の農業参入を積極的に推進し、耕作放棄地の有効活用や新たな雇用創出の観点からも注目されている。
こうした中、農業の担い手確保を一貫して推進してきた公明党大分県本部(竹中万寿夫代表=前県議)のメンバーはこのほど、同県由布市の農業生産法人「リッチフィールド由布」(小林俊三社長)を視察し、農業参入の取り組みを探った。

竹中万寿夫代表=前県議同県由布市の農業生産法人小林俊三社長ともに視察

甘味唐辛子とも呼ばれるパプリカの生産・販売事業を営む同法人は、2009年9月8日に設立。営農に当たり、県からさまざまなサポートを受けながら、由布市内にある耕作放棄地2.6ヘクタールを取得し、これまでに0.7ヘクタールのハウスや集出荷貯蔵施設を整備。現在、0.9ヘクタール増のハウス第2期工事(今月10日竣工予定)を進めており、完成すれば西日本で最大規模のパプリカ生産体制が整う。

由布市への進出について、小林社長は「冬季の日照時間が長く、パプリカの生産に適しているため」と説明。宮城県栗原市にも同系列の「リッチフィールド」があり、そこでは5月から12月、由布市では11月から翌年7月にかけて収穫し、安定した周年出荷体制を敷く。また、従業員は現在12人(うちパート10人)で、新たに3、4人を雇用する方針。

今後の展望について小林社長は、「新鮮さと品質の良さを売りに『由布のパプリカ』を普及させるとともに、新しい農業の担い手育成や地域の雇用創出に貢献していきたい」と話していた。

竹中県代表は、「企業の農業参入は、新規就農者の増加や耕作放棄地の解消などの点から見ても極めて重要。積極的に企業参入を推進していきたい」と語っていた。

県農山漁村・担い手支援課によると、企業の農業参入の推進に向けて、課題となっていたのが、農地の確保や農業参入プランの作成、農業技術の習得などだった。

これらの問題を解決するため、県は08年4月に県農林水産、商工労働、土木建築の3部から成る「農業企業誘致プロジェクトチーム」を設置。各市町単位でも同様のチームを組織し、関係部局の連携による支援体制を整備した。これにより、農業参入相談や技術指導、農地のあっせんなど、企業のニーズに即して速やかに対応し、総合的なサポートが実施できるようになった。
その結果、県は07~10年度までの4年間で目標としていた105社を超える106社の農業参入数を達成。各企業の営農計画が予定通りに進んだ場合、全体で農業産出額約98億6,000万円の増加と、農地457(うち耕作放棄地127)ヘクタールの活用、1,079人の雇用創出などの効果が見込まれている。